このレインボー日記は長いので
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をしおり代わりにお読みくださいませ
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パーティの朝/出発の朝
12時30分開店の夢屋をオープンしてからというもの
目覚めるのはほぼ毎日太陽は真上近くなので
こんな早起き生まれて初めて
と思いながらも早朝だというのに
目をぎらつかせて目覚め
お客さんに教えていただいた
ぷらっとこだま(ワンドリンク付き)で
新大阪ー東京間を新幹線の各駅停車
たっぷり4時間かけ向かったのですが
電車に乗ることが好きですし4時間でアキラックスと同じ
東京の地に降り立てるなら苦なんかひとつもないわ
と今回の旅のご本はもちろん装画・宇野亜喜良さんの
膣内楽/加藤郁乎/大和書房1975年発売
を読み読みビールを飲み飲み電車は進んでいくのです
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パーティの昼/人形町~恵比寿
私の東京旅行はいつも急
それはアキラックス絡みでないと東京へ来ないからなのは
猫のような犬でもわかる皆さんお察しの通りですが
アキラックス貯金を一昨年からしていた甲斐があり
2年振りの東京へ着き
東京駅で降りたのになぜか大手町から地下鉄に乗り
今夜泊めてもらうマアコちゃんと人形町で落ち合い
喫茶越路でランチを食べ食べ再会を喜んでは
A級グルメ店ひしめく人形町の街を抜け
初めて訪れる821TOKYO ROOMへ(リンク/OH!821)
そこで丁寧に髪をブラッシングしてはホットカーラーで巻き
マニキュアを爪にのせ服を着替え、
正月にEVE(リンク/EVE)で買った
どこに着ていったらいいのかわからない袖オン袖のゴージャスドレスで
自分の結婚式と並ぶくらい大切な今日のパーティへ行こう
と思っていたのですが実は
今回はななんと2次会にもお誘いいただいて
私には何の問題もないけれど
2次会に来られる皆さんが
こんなにも派手な女と席を囲むことを恥ずかしく思わないかしら
なんて考え出したら止まらずしかし
普段着で行くなんて夢家始まって以来の
惨劇を招くことは目に見えていたので
それだけはしてはならぬ
と二十歳になった時に母から聞かされた教えを噛み締めこちらも
まだどこにも着て行ったことのない
フリークシーン(リンク/FREAK SCENE)で先日
購入した絶対的に好きな模様のワンピースを着込み
いざ、ギャラリーのある恵比寿へ
マアコちゃんと向かえば小雨
ちょい晴れ女の異名を持つ私に
挑戦するかの如く降り注ぐ細い雨たちに負けぬよう
ヘアースタイル維持に集中し向かう
EMMAにて
BUS STOPのジャケットに惹かれ
シルバーのバングルにグリーン光るブローチに惹かれ
惹かれるのだけれどもうどれが欲しいのか
私が今欲している物が何なのかわからなくなりそれは
それはすでにギャラリーへと宇野亜喜良さんが来られているであろう
時間がすぎていたからで
西口側に私、駅挟んで東口側に宇野さんがおられると思うともう
何も考えられずもう
何も考えられない
けれどひとつだけはっきりとわかることがある
この踊り出す熱き血潮だけは
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ギャラリーまでの道のり/恵比寿
今回の目標はフアンを越えさらなる一歩を踏み出すため
サインをおねだりしない
を目標にしていたのですが念のために念のためによ
と読み読み来た膣内楽を
バッグに忍ばせているこのすっとこどっこい
やっぱり私はただのフアンです、いや
大フアンなんです
とここらで大きな声で叫んでみれば
誰かギャラリーまで連れていってくれるんじゃないかしら
と思えるほど道に迷う
けれど私は進むしかない
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パーティの会場/
Malle
小さな灯り人だかりを見つけ中へ
四月のノマドたち 解放区春の祭典
早速宇野亜喜良さんの作品「春」「祭」の前に立ち
声にならないうめき声を上げ
昨日のレインボー日記で書いた
私には私だけに向けて放たれたメッセージとしか思えなかった
メッセージを書かれたレディこそ
今回の展覧会にも参加されている造形作家の
野村直子さんで
以前AQUIRAXとFiLLY O’ LYNXのデザイナー
野口アヤさんとのコラボレーション発売パーティ
(2005年5月12日のレインボー日記参照)で
初めてお会いしそれからメル友、
のちに宇野さんに二人はメル友なの?と言われたので
私からメル友なんていうのは失礼かと思いますが
メル友と言わせていただきまして
それからはネット
それはインターネットでおつきあいをさせていただいていて
直子さんが書いてくださらなかったら今回の旅もなく
どうお礼申し上げていいのかわからぬまま挨拶をすれば
すぐさま宇野さんとご対面させてくださったのですがさらに
ユメーコがやって来ることを事前に言ってくださっていて
なんとも入りやすいステージをご用意くださり
踊りまくるぜ血潮
しかし元来気の小さい私
一年振りかな
いいえブラーバ以来なので一年半振りですテヘヘ
僕その間何もやってなかったからね
いえいえご活躍、それはもう…
といった挨拶だけを終え外で深呼吸
アキラックスジョークに気のきいた返事もできぬまま
誘われるまま二次会へ
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パーティの夜/二次会・前半戦
重ね重ね野村直子さんのご好意でななんと
宇野亜喜良さんの隣の席をなななんと
左隣の席を勧められ
私なんて者がとんでもございません
と口はふがふがしていても体は勝手に着席
合コンでもこれほどの厚かましさを見せたことはないというのに
今夜は素直な私
しかし尋常じゃない緊張を持っていたのでこの時
何を話したかはいまだ思い出せませんが
普通の会話をしキャー
誰かこの普通のところを写真におさめてもらえませんか
いや、私だけは普通の状態ではありませんが
はたから見たら普通に見えるこの状況を
私のキャメラで構えて写るのではなく普通に
普通に会話しているところを素知らぬ顔であなたのキャメラで誰か
誰か激写してちょうだい
と心の中で叫んでみても知り合いは誰もおらず
誘わなかったのでは私ですし
ましてや私専属のキャメラマンなどこの世に存在すはずもなく
けれど落ち込むことなどひとつもない、今
隣ではジンジャエールをお飲みになる宇野さん
oh!炭酸飲料を飲むアキラックスが真横に
お代わりを頼む宇野さん
運ばれてきたジンジャエールを定員から受け取る私
私から宇野さんに手渡されるジンジャエールの入ったコップ
その時
触れ合う指先そう
宇野さんの左手とかすかに触れた
ドキン
見つめ合う目と目
お互いの気持ちに気づく瞬間
教卓の下に転がった鉛筆を同時に拾おうとした場面ならば
キッスしちゃうような少女漫画で幾度となく
読んできた光景ではありましたが
コップが割れたのは私の頭ン中だけでそれよりも
左手から生み出されるイラストの数々に
魅せられてならないというのに
左手に触れるなんてお怪我でもされたらと
配慮のなさに愕然とする私なんかに
飲み物をすすめてくださる宇野さん
煙草まで勧めてくださる宇野さんと直子さん
もちろんこんな素晴らしい時間に
煙草を喫うことなど思いもつかなかったけれど
ご好意にはどこまでも甘え甘える私ですから
禁煙の店内、喫煙できる一角へと
煙草を喫われないお二人と共に移動し一服の前に深呼吸を2回
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パーティの夜/二次会・後半戦
今までならアレ話したコレ話したと思い出せるほどしか
お話させてもらったことしかなかったのですが
今回はナニ話したなんてないくらい話させていただき途中
こと切れそうになりながらも
必死で喰らいついていたのですが
ずっとついて回るのは厚かましすぎると思い
知らない人の中
猫のような犬のようにちょこんとしておったのですが
まぁいつまでもちょこんとしておることできず
隣の隣に座られていた方に話しかければ
山本じんさんで
逆隣に座られていた方に話しかければ
管野研一さんで
真向かいに座られていた方に話しかければ下谷二助さんで
斜め前に座られていた方は今回の展示に参加されている
上田風子さんで
その隣には
石山裕記さんで
ちょこんとしておるのが私だったのですが
二助さんに宇野さんにDMもらって来たの?
と聞かれいいえと宇野さんと初めてお会いした日から
今日までのいきさつを話せば
それはいけない、僕から宇野さんにDM送るように言ってあげるよ
となんとも頼もしい二助さんに
その後二三度職業を聞かれましたが
本を持ってるならサインもらいなよ僕が言ってあげるよ
とお茶目な二助さんの口添えで
イラスト付きサインをいただいた上にななんと
来月にある個展のDMを送ってくださることになり
宇野さんが個展の説明をしてくださったのですが来月の個展とは
現在ポプラ社から発売中の絵本
もりでうまれたおんなのこ/文・磯みゆきの原画展で
絵本の内容まで話してくださりそのまま
多分オチまで話してくださったのですが
俄然買う気が出
その様子を聞いておられた管野さんが
6月に宇野さんと一緒に展覧会があるからそのDMは僕が送ってあげるよ
と言ってくださりなんで皆さんこんなにもお優しいの
と感激しても抜け目なく宇野さんに
名刺を渡そうとすると名刺切れという大惨事
宇野さんには二助さんが知ってるよね
と言われ頼もしすぎる二助さんに名刺は渡していたのですが
こういうのは今渡しておいた方がいいのでは
と思い夢屋のフライヤーを渡すと
皆がお尻お尻とフライヤーの裏
お尻ちら見せの写真を指差し
宇野さんもお尻に注目してくださり
嗚呼お尻見える写真を使っていてよかった
とお尻見える写真をチョイスした当時の自分を今日こそ褒め
帰られる宇野さんを見送る中
夢子ちゃんもありがとう
と言われ戦慄き騒ぐハートで繰り返される
夢子ちゃんと言う響き
ね、ね、私って夢子っていう名前よね
そうです私が夢子です
と夢子という名前でよかった、いや
夢子と名乗っていたから呼んでもらえたのか
兎に角そんなことはどうでもいい中
初めて名前を呼ばれた喜びで
見知らぬ土地が鮮やかに見える
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パーティのあと/恵比寿の駅
この興奮をも気持ち悪がらずに受け止めてくださる
野村直子さんと帰る道すがら
本当になんとお礼を言っていいかわからず
ただただ感謝するばかりで
まだまだ話したりなかったのですが
夜の終わりはどうしたってやってきて
素知らぬ顔で過ぎていく時間に
止まらなくてもいいから続いてはくれないかい
と問うてみるけれどやっぱり知らぬ顔
だけどこれだから人生は素敵だ
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こんな状態で真っすぐ帰ると君は思うのか
見知らぬ土地で地図を持たない女の末路は
夢子のレインボー日記3で